神奈川県横浜市青葉区にある「こどもの国」には彫刻家イサム・ノグチの作品があります。
ノグチの30年の設計の体験をすべて生かしたと語るほど力を入れた作品群を体験できます。
数少ない体験できるノグチ作品です。
こどもの国とは
「こどもの国」は広大な自然の中で子どもが思い切り遊べる家族向けテーマパークです。
動物とのふれあいや、季節ごとのイベント、プールや遊具、キャンプ場などがそろい、家族みんなで楽しめる施設となっています。
四季折々の景色や自然体験が魅力で、子どもの自由な発想や冒険心を育む場として最適です。
詳しくは公式サイトをご覧ください↓
イサムノグチとこどもの国
彫刻家イサム・ノグチは「こどもの国」が開園した3ヵ月後の1965年8月に、米国から招かれ来日し「こどもの国」設計集団に参加しました。
建築家の大谷 幸夫 氏とともに児童館エリア施設の設計を担当し、それから4ヵ月間、連日「こどもの国」を訪れ精力的に構想を実現しました。
当時ノグチは、彫刻と遊具と広場の造形を一体にした楽園のような遊び場「プレイグラウンド」を構想しており、その実現を先駆けたのが「こどもの国」でした。
日常の遊び場にアートを持ち込み、子供たちに夢を与える遊具彫刻をめざしたイサム・ノグチのプレイグラウンド構想が体現されています。
当時の新聞のインタビューにノグチは「(こどもの国に)30年の設計の体験をすべて生かした。子供の遊び場には自然を残し、自然を生かさなければならない。遊んでいて心のたかぶりを覚えるようなものをつくりたい、という私の夢を実現した」と語っているそうです。
このプレイグランド構想は後に札幌のモエレ沼公園へと繋がります。
こどもの国で見れるイサム・ノグチ作品
エントランス通路
イサム・ノグチが設計した児童館エリアへ続く通路で、奥の階段は児童センターへのエントランスになっています。
通路壁面にある緑色のドアは当時のトイレの入口でした。
現在は倉庫になっており開閉は出来ません。
奥のコンクリート製の重厚なアーチ型エントランスは、これをくぐることで非日常の世界に導かれるように構想されています。
まるやま
児童センターの前の芝生にあるコンクリート製の半円状の小山です。
子供が登ったり滑り降りたり、中で繋がっている穴に入って遊んだりできます。
中央の穴に続く階段のような意匠は、どことなくノグチのデザインを感じさせます。
製造中にブルドーザーで盛り土する作業員にノグチは「もう2センチ低く」など、細かく指示していたそうです。
もとは「マンジュウ山」という名前だったそうですが何故か今は名前が短縮されています。
オクテトラ
温室の奥の広場にある赤い八面体のコンクリート製の遊具です。
子どもは穴をくぐったり、のぼったりして遊ぶことができます。
まさに彫刻遊具という表現がふさわしいです。
このオクテトラはノグチを象徴する遊具彫刻で、ここだけでなく香川や札幌、香港※後述にもあります。
現存しているノグチ作品は以上で、その頃建設された児童館とスケート場は老朽化による建て替えで残っていません。
「こどもの国」自体が良い場所なので家族にお勧めできますし、そのうえでノグチ作品を体験できる貴重な場所です。
行った際の動画を下記からご覧いただけますので参考にしてください。
ところで香港の美術館M+のL3にはノグチのオクテトラが展示されています。
同時に「まるやま」のような盛り上がった半円状のオブジェもあります。
HPには横浜のこどもの国について言及しており、どうも持ってきたか参考にしたかどちらかのようです。
詳しい情報はわかりませんので誰か知っていたら教えてください。
M+の動画は下記からご覧いただけます。
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