ポストモダンを代表するデザイナーの1人倉俣 史朗 氏は、1998年に新橋の寿司バー「きよ友」のファサードとインテリア(内装)を手掛けました。
同店は経営難により2004年に惜しまれつつ閉業しましたが、イギリス人の資産家が買い取りそのまま営業はされないながらも当時のまま保存がされ続けていました。
そんな状態が続いた2014年、香港の美術館「M+」が買い取りコレクションとして収蔵されることが決まりました。
そして2021年末に開業されたM+にて「きよ友」は当時の姿のまま公開されています。
きよ友を見るために香港まで行ってきました
きよ友は茶室を参考にしてデザインされています。
倉俣デザインとしては自然素材を多用した珍しい構成に見えますが、随所にらしさが垣間見える空間です。
天井の照明はまるで障子のようであり、カウンターの照明は浮遊感のある照明です。これはインゴ・マウラーからインスピレーションがあったようです。
奥の赤と青のコンビネーションが特徴的で倉俣デザインの印象そのままのここはトイレです。
言われてみるとマウラーっぽいでしょうか。
家具はこの物件の為に製作しており、背もたれの意匠は倉俣デザインそのままです。
寿司屋のイメージからするとアバンギャルドなデザインです。
この香港のM+に移築するために当時の設計会社が香港に渡り長い時間をかけて当時のまま再現したそうです。
M+が買い取ってから美術館がオープンするまで6年もかかっていることを考えると壮大で大変なプロジェクトだったと想像できます。
日本から近いですし興味のある人はぜひ行って見てください。
見ごたえはあります。
M+のHPは下記です。
ところでM+ですが倉俣史朗のデザインを他にも展示しています。
ミスブランチの一つもここM+が所有しています。
このビギン・ザ・ビギンを所有しているのもここだったりします。
きよ友だけではないですし、そもそもこの美術館自体コレクションが面白いので楽しめます。
それにしても2004年の閉店後から10年も保存し続ける資産家の体力は感心しますね。
それまで何度も営業再開するように試行錯誤していたそうです。
でもM+に売却することで儲かっている可能性もありますね。
これを買うM+の資産がすごいですが、よっぽど倉俣史朗のコレクションが欲しかったのでしょうね。
M+は日本より日本のデザインの評価が高い印象です。
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