Herman Miller(ハーマンミラー)社とKnoll(ノル)社はアメリカンモダンデザインの歴史ともいうべき2社であり、両社とも40年代からモダンデザインをリリースすることで躍進しました。
両社は同じアメリカで活躍年がほぼ同じで、さらにお互いデザイナーが被っていることがあるためよく比べられていました。
でもそれ以外に両社はあまり似ていません。
同じアメリカと言えどかたやミシガンのハーマンミラー社で、かたやニューヨークのノル社ですから異なる文化です。
理念も製造手法も異なりデザインも似ておらず、ニューヨークに本社を持つKnoll社は都会的なデザインセンスに合わせているのに対して、ミシガンにあるHerman Miller社はクラシックモダンで開放的なアメリカの住宅に向けたデザインです。(イームズのデザインはロサンゼルスですが)
そんな両社で私が考えるもっとも異なる部分はデザインの設計思想です。
ハーマンミラーの製品は合理的なデザインで、ノルの家具は堅牢なデザインです。
ハーマンミラー製品はイームズの製品から続くロジカルなデザインをしており、基本は製品が全て分解できるようになっています。
破損した場合はその部分だけを修理や交換をすることで長く使うことができます。
この構造が販売する際にも有利で、脚だけ交換したラインナップを用意することが容易です。
その逆にノルの製品は壊れないデザインをしています。
頑丈な構造で丈夫な素材を使い一体化されたフレームを持つなどとにかく耐久性が高いです。
壊れたらどうするのかという考えではなく、壊れないデザインを作っています。
もちろん例外はありますが、両社のデザインはこうした違いが見受けられます。
そして壊れないのが理想ではありますが、ひとたび壊れると修復が容易ではないので、どちらが良いかという話ではありません。
それぞれの考え方の違いです。
あくまで私見ですので参考程度にお読みください。
最後に、Knoll社は2021年にHerman Miller社が買収をしています。
現在はMillerKnollと社名を変えKnollはファミリーブランドになっています。
そのため最近の両社は今回の記事内容には当てはまりません。
あくまで今回の記事の内容は40年代からのアメリカンモダンデザイン隆盛における両社の評論となります。
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