世界3大巨匠のひとりとして名高い建築家のフランク・ロイド・ライトが設計をした旧帝国ホテルは、昭和43年(1968年)に取り壊されました。
しかし貴重な建築がこの世から無くなることを憂いた建築家たちが行動をしたことで、玄関部分が愛知県の明治村に寄贈され昭和60年(1985年)から展示公開されています。
明治村での帝国ホテルがどのように展示されているのか歴史とともに紹介します。
帝国ホテルの歴史と移築について
旧帝国ホテルは日本の近代化に伴い国際的に海外からも要人を迎えられるようなホテルが求められたことで計画が始まりました。
大正4年(1915年)に当時の帝国ホテル支配人となった林愛作氏が渡米し、フランク・ロイド・ライトに新館設計の依頼をし、東京都千代田区にて大正8年(1919年)に建設が始まりました。
ところが建築途中にライトは設計監理から解任されてしまいます。
その後はライトの弟子であった遠藤新氏が工事を続行し大正12年(1923年)に完成し開業しました。
奇しくも開業日に関東大震災が起きましたが、帝国ホテルは大きな損害がありませんでした。
それはライトの設計と思想、そして優れた建築技術があったからに他なりません。
この建物は鉄筋コンクリートをベースにしつつ、内外とも大谷石(おおやいし)とテラコッタが多用されています。
そこに施された複雑かつ特徴的な幾何学模様が独特な世界観を演出しています。
ライトは古代マヤ文明や日本の建築から影響を受けておりその感性が随所に見られます。
(本によるとライト自身はその影響を否定しています)
内部の家具や照明、敷物や食器に至るまでライト自身がデザインしておりインテリアの調和が図られています。
食器類は現在でも復刻品が販売されています。
有名なピーコックチェアは旧帝国ホテルのためにデザインされた椅子です。
座る人が最も美しく見えるようにと考えられたエッジが利いた木製のダイニングチェアです。
旧帝国ホテルは日本の代表的なホテルとして国内外の要人・有名人にも利用されていました。
しかし老朽化と高度経済成長期における客室の不足と高層化計画のため昭和42年(1967年)に取り壊されることになりました。
ですが国内に留まらず海外でも保存問題が物議を醸し、昭和43年(1968)に玄関部分のみが愛知県犬山市の明治村に寄贈されることになり移築計画が始まりました。
そして昭和60年(1985年)に移築が完了し展示公開され現在に至ります。
移築には多くの困難や労力があり、1967年にホテルが取り壊されてから再建されるまで18年かかっています。
玄関部分だけと言えど、この建築の最も肝心な部分は玄関ですので旧帝国ホテルの本質が今も生き続けています。
この帝国ホテルの詳しい解説は明治村HPに記載がありますのでご覧ください。
あまりにも名作建築なのでこれを愛知県で普通に見れることはありがたいことです。
他府県の方は愛知県に来る用事があればぜひ明治村に行ってみてください。
明治村自体、貴重な建築がたくさんあるので楽しめるはずです。
ただしすごく広いので一日無いと見て回るのは難しいです。体力もいりますよ。
明治村には名古屋駅から電車とバスを乗り継いで行くことも出来ますが、不便なので他府県の方は名古屋駅からレンタカーやカーシェアで行くことをお勧めします。高速を使わなくても50分ぐらいで着きます。
その際にもし時間があれば近くにモンキーパークに行ってみてください。
そこには岡本太郎氏の若い太陽の塔があります。
太郎好きは行った方が良いですね。
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