チャールズ&レイ・イームズ夫妻がデザインをしたイームズシェルチェアは、1949年の発売以来、長い製造中止がありながらも現在まで販売が続くアメリカンミッドセンチュリーモダンを代表する名作椅子です。
ハーマンミラー社を象徴する椅子でもあります。
そんな長い歴史を持つイームズシェルチェアのもっとも初期に製造された個体を1st(ファースト)と俗に呼ばれます。
どのような特徴があるのか解説します。
最初に製造されたイームズシェルチェアの特徴とは
最初期のシェルチェアは裏側にこのようなステッカーシールが貼られています。
最初にイームズシェルチェアを製造をしていたのはゼニスプラスチック(Zenith Plastics)社で、販売はハーマンミラー(Herman Miller)社が行っていました。そこでステッカーはハーマンミラーとゼニスのダブルネームのものです。
ただこのステッカーは無くなっていることが多いです。何せ70年以上前のものなので・・・
ちなみに、このステッカーは1950年頃には別のものに変わります。
理由はそのころにハーマンミラー社がゼニス社を買収したため、製造も販売もハーマンミラー社という表記になったからです。
プラスチックが薄くファイバーの量が非常に多いです。
光を当てると裏側の物体が透けるぐらい薄く、まるで繊維の入った用紙のようです。
これには理由があり、当時はまだプラスチックが高価だったため、なるべくプラスチックの量を少なくして、強度のためにグラスファイバーを大量に入れるようにしていたからです。
この薄さは年代を追うごとにぶ厚くなり、それに比例してファイバーの量は少なくなっていきます。
80年後半ともなるとファイバーは見えないぐらい少なくなります。
この薄いプラスチックは強度的に問題があるため、最初のシェルチェアだけ縁にロープエッジと呼ばれる補強が入っています。
これがあるため座った際に曲がるようなことはなくしっかりしています。
実際にロープが入っています。
ビッグショックマウントと呼ばれるサイズの大きなショックマウントが付いています。
2ndの中期から使われなくなったショックマウントで、最初だけなぜかこの大きさのショックマウントでした。
中に金属のワッシャーを取り付けできるようになっているのは強度のためだと思われます。
ビッグショックマウントではなくラージマウントと呼ぶのが普通かもしれません。
最初期はアームシェルしかラインナップにありませんでした。
サイドシェルは後から製造された形のため、ゼニス×ハーマンミラーのステッカーが貼られているサイドシェル個体は存在しません。
以上、これらが1st(ファースト)と呼ばれるイームズシェルチェアの特徴です。
見分け方は超簡単なので誰でも判別可能です。
でも、これだけ古い時代のシェルチェアとなるとそもそも現存する個体が僅かなので、その辺で見かけるようなことはあまり無いでしょうね。
もしこの個体を所有していたら貴重品なので大切にしてください。
あと27年も経ったらゼニスのシェルチェアも100年以上前のものですからアンティーク品になりますね。
イームズがアンティーク品の時代がいつかは来てしまうんですね・・・そのころはイームズデザインの家具の扱いはどうなっているのか楽しみです。
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