– Sella Stool –
デザイナー:Achille Castiglioni & Pier Giacomo Castiglioni
(アキッレ・カスティリオーニ & ピエール・ジャコモ・カスティリオーニ)
Sella Stool(セラスツール)はイタリア人デザイナー「アキッレ・カスティリオーニ & ピエロ・ジャコモ・カスティリオーニ兄弟」が1957年に電話をする際に腰掛ける椅子としてデザインしました。
実際の自転車のサドルをそのまま座面に使用し、下部の半円形の重りでバランスを取るユニークなデザインが特徴です。
イタリアンモダンデザインにおけるレディメイドの名作椅子です。
イタリアンミッドセンチュリーの名作レディメイド椅子
(壁にかかっているのがミルキングチェア)
セラスツールの元になった椅子は牛の搾乳時に使用する畜産用ミルキングチェアです。
ミルキングチェアは腰ベルトで身体に固定をする一本足の椅子です。
セラスツールはベルトを排除して、椅子自体を重りでバランスが取れるようにし、そこに人が座ることで人間の足が地面につくことで安定する構造になっています。
レディメイド(Ready-made)の本来の意味は”既製品”ですが、美術の世界では「大量生産された既製品を流用した作品」のことをレディメイドと呼んでいます。
ここから既製品をそのまま流用したプロダクトもレディメイドと呼称するようになりました。
同じカスティリオーニ兄弟の「メッツァドロ」もトラクターのシートをそのまま流用しているためレディメイドです。
電話をする短時間のために、本来はレースで走るための自転車のサドルを付けるのが皮肉な感じがしてユニークです。
当時の家具としては斬新な切り口だったことが現代も名作椅子として残っている理由でしょう。
支柱のピンクはイタリアの自転車レースの優勝者に贈られるピンク色のユニフォームから取り入れられているそうです。
ちなみにSellaは”鞍”という意味です。
電話用ではありますが、一般的なスツールとして使うだけでなく、プロダクトとアートの境界線のような存在ですから作品として空間に飾るのも良いです。
当時から全体に至るまでイタリアのザノッタ社が正規品の製造販売をしています。
イタリアンミッドセンチュリー期の名作椅子のひとつです。
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