教えてもらった情報なのですが、雑誌「Begin」最新号の「今月のいいモノランキング」の一位がハーマンミラー社から復刻したイームズシェルチェアのローワイヤーベースだそうです。
けっこう意外なものが一位ですね。
イームズシェルチェアの、それもローワイヤーベースなんてミッドセンチュリー好きぐらいしか興味がないと思っていましたが、どうもそうではないようですね。
やらせじゃないそうですよ。
しかしこれは世間が求める家具がこういったものであるということです。
雑誌でも「座椅子」と表現されていますが、背の低い椅子というのが求められているのでしょう。
ローワイヤーベースはそうですね、座椅子みたいですね。
ただ実際には座椅子というより、「低座の椅子」のほうが表現はあっています。
低座の椅子とイームズ
「座椅子」は日本では古くから馴染みのある形状の家具です。
日本は環境の都合による古くから靴を脱いで家に上がり、畳や床の間に直接座っていた文化ですので、地面にそのまま座面がつくような座椅子は慣れ親しんでいます。
現代の若い人はあまり知らないかもしれませんけどね。
第二次世界大戦後、日本に欧米のデザインが入ってくる中で、日本の生活様式、住宅事情に合わせた椅子として座の低い椅子が作られました。ダイニングチェアほどではなくて、座椅子ほど低くもない椅子です。
豊口 克平 氏の低座の椅子がその先駆けの存在です。
シャルロット・ペリアンに影響をされて坂倉 準三 氏も40年後半には低座の椅子をデザインしてもいました。
日本で最も有名な座椅子というと・・・天童木工社の「低座イス」でしょうか?
今はデザインが「坂倉準三建築研究所」となっています。
以前までは板倉研究所の一員であった長 大作 氏の名前だけで紹介されていましたが、何か権利的な都合なのか知りませんがそうでは無くなっています。
長 大作 氏は板倉 氏の低座の椅子を独自解釈で作り上げたのが低座イスです。
イームズ夫妻も日本のお膳をイメージしたワイヤーベーステーブルと合わせて日本をイメージしたインテリアデザインをしていました。
低座の椅子は印象として日本的と言えるのでしょうか。
イームズ夫妻もこうして茣蓙を敷いていますし、完全にそのイメージですけど。
数年前からオフィスデザインでも低座の椅子は取り入れられているのを見ていました。
最新の格好良いインテリアデザインがされたオフィスに、うまく低座の椅子が置かれているのを見かけます。
やはりそうした要望があるからそうしているのでしょうね。
低座の椅子自体が”きている”のかもしれませんね。
けど、流行っているとか、トレンドとかそんな感じではなくて、今までジャンルとしては存在してはいても、それが一般的にまで認知されていなかっただけなのが見られるようになってきたということでしょう。
イームズやハーマンミラーに興味がなくとも、ローワイヤーベースのシェルチェアは需要度が高そうです。
ポリプロプレン製だったら値段もそこまでしませんしね。
ファイバーグラス製の方が格好良いですけど、クラシックな感じになってしまいます。
ただ、低座の椅子は年を取って足や膝が悪い人には、立ったり座ったりが苦しいのでそこはちゃんと選んだ方が良いです。
ローワイヤーベース自体は何年も前から私も良いベースとしてヴィンテージシェルチェアに組み合わせて販売をしていたので、それがもっと普及するなら良いことですね。
選択肢が増えることは良いことですよ。
ちなみに、日本に最初に上陸したイームズシェルチェアの一つがローワイヤーベースだったりします。
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