– Paimio chair –
デザイナー:Alvar Aalto (アルヴァ・アアルト)
フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトがデザインをしたパイミオチェアは合板を使った椅子の先駆けともなる存在です。
今までの木製椅子のイメージを一新した軽やかで革新的なデザインは、後の椅子のデザインに多くの影響を与えました。
合板により実現した軽やかな歴史的な椅子
パイミオチェア(Arm Chair41)は1932年にデザインされました。
きっかけは1928年にアアルトがパイミオ市が主催した結核診療所(サナトリウム)の建築コンペを勝ち取ったことからデザインされることになります。
パイミオのサナトリウムでは建築だけでなく内装も手掛けることになったアアルトは、当初家具のデザインとしてスチールパイプを曲げたデザインを採用することを考えていました。バウハウスの影響です。
マルセル・ブロイヤーのようなパイプを曲げたデザインですね。
しかし、スチールの冷たい印象が病人にとっては心象が良くないと判断をし、温かみのある素材としてバーチ材を選択しながらもスチールパイプで構想していたような流れるようなフレームのデザインを実現させました。
それがラメラ加工という合板製法です。
木を薄くスライスして木目を揃えて成形して合板にすることで、強度が高いながらもカーヴがきれいな成形合板を作り上げました。
この技術より軽やかながら頑丈な椅子を作ることが出来るようになりました。
この椅子のデザインと製法は伝統的な”そり”から着想を得たそうです。
そうして出来上がったパイミオチェアはクッションが無いながらも、座ると弾力を感じることで木材で作ったかつての椅子とは別次元の座り心地が評判ともなりました。
(アルヴァ・アアルト もう一つの自然 P.136)
合板の椅子自体はアアルト以前から存在しますし、アアルト自身もパイミオチェアの数年前からデザインはしていました。
このパイミオチェアのしなやかなデザインはアアルトの独自性が発揮されており、後の合板で作る椅子のデザインに大きな影響を与えました。
元のスチールで作った場合もどんなデザインになっていたかの想像がつきやすいですね。
過去も現在もアアルト夫妻が自分たちの家具を販売するために設立したアルテック社により正規品が製造販売されています。
座り心地は見た目よりは良いですよ。
ツルツルしているので滑るのはしょうがないです。クッション置きづらいデザインなのでこのまま楽しむ椅子です。
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