「家具が売れない時代」なんてフレーズを聞きます。
家具屋の業績不振だけでなく、倒産、廃業も増えました。
昔に比べて家具が売れなくなったのには理由がいくつかあります。
代表的な理由を書きますね。
ひとつの理由は住環境の変化。
人々が住む住宅事情が以前に比べて変わりました。
賃貸や新築マンションを購入して住む場合は最初からクローゼットや収納棚などが用意されています。
家を新築するにしても物件をリノベーション/リフォームするのも、最初から収納家具を造作するのも当たり前になりました。
新築の場合はアイランドキッチンに合わせてダイニングテーブルも造作することも珍しくありません。
こうした最初から収納するための家具を用意することが増え、後からタンスや食器棚といった大型収納家具を購入するという需要が減りました。
購入する必要の家具の幅が減ったわけです。
昔の日本家屋や戦後に大量生産されたプレハブ住宅は、後から家具を置いて収納することを想定されていましたからね。
もう一つの理由はテクノロジーの変化。
テレビの薄型化に伴い壁に掛けて設置することも増え、大型のテレビ台が必要なくなりました。
一昔前のように大きなレコーダーやプレーヤーも無くなり、小型化やスリム化が進むことも大きなテレビ台やオーディオ台の必要性が減った要因です。
電話台も無くなりましたね。固定電話を設置するための台があるのが普通だったんですよ。今は電話だけの台の需要はほとんどありません。
パソコンが活用され始めた2000年代初期なんかは、大きなディスプレイとPC本体を置くスペースを用意するために、家庭でも専用のデスクを用意しないといけませんでしたしね。
さらに一つの理由は嫁入り道具需要の変化。
若干先述の内容と被る話でもあるのですが、昔は娘が嫁入りに行くとなったら親が嫁入り道具としてタンスなどといった家具を持って嫁がせていました。
それに”婚礼家具”という需要が盛んでした。
その昔は親が子供の結婚後の新生活をする住宅のために、生活に必要な家具(テーブル、タンス、など)をまとめて大量に購入をして、それをトラックに満載の状態にして納品していました。荷台には赤白の幕を付けて走り、決してバックをしてはいけなかったんです。(この行事はもしかしたら東海地方だけかもしれません。)
こうした結婚後の新生活に向けて親が婚礼家具を買い与えるということがほとんどなくなりました。
最後の一つは人口減少
もう説明する必要がないぐらい言わずもがなです。そもそも日本人人口が減り続けていますので、家具を必要とする人たちも減っているということです。
以上のことから、ただ家具を置いておいて売れたとという時代が終わったことで、「家具が売れない」という状況になりました。
昔からやっているような家具屋は羽振りが良かった時期もあると思うのですが、婚礼家具需要が大部分だったため、その感覚がない現代の若い人達に向けてうまくいかなくなります。
今の時代に対応できないことで経営がうまくいかなってしまいます。
私のような後発新規組は婚礼家具なんて知りませんし、最初から「家具は売れないものだ」という認識でやっているので、”昔は良かったけど今はうまくいかない”ということはありません。最初からずっとうまくいかないなかで、うまくいかないまま試行錯誤をしています。
でも、あると思ってやるのと、ないと思ってなるのとでは随分勝手が違うので、無いものとしてお店をやることでなんとか続けていくような手法をとることができます。
では家具を販売する人たちはどうすればいいのかという答えはあります。
その方向に向けて各々が動いている状態ですね。
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