これはハリー・ベルトイアが1956年にデザインをしたサイドチェアです。
ダイヤモンドチェアと同時期にKoll社にて手掛けられた1人掛けのダイニングチェアです。
この写真のサイドチェアは中古です。
Knoll(ノル)の家具のヴィンテージや中古の鑑定が難しいという話です。
正規品かどうか見分けがつくか
私のお客さんが旅立つ前に家具を手放すということで、このサイドチェアを私に引き取ってほしいと連絡があり買い取ることにしました。
実はという話でもないですが、私は中古やヴィンテージの売買もしているためこうした仕事もしています。
私は米国製Knoll社の正規家具を販売していましたが、私が販売をしたサイドチェアを買い戻したわけではありません。お客さんは私に出会う以前に手に入れたものです。
でも私は買い取るにあたってこのサイドチェアがKnoll社の正規品であり米国で製造されたものだということはすぐにわかりました。見分け方があるんからです。
ところで、Knollの正規品でも中古のベルトイアダイヤモンドチェアやサイドチェアが非常に安く売られているのをみたことがありませんか?
これはですね、ベルトイアのダイヤモンドチェアやサイドチェアの中古(ヴィンテージ)鑑定は難易度が少し高いからなのと、日本製のKnoll製品の存在があるからです。
これが原因で中古・ヴィンテージ市場でも値が付きづらいです。
Knoll社の製品はニューヨークの家具メーカーらしく米国で製造されているのですが、イタリア製もありますし、過去には日本製もありました。すべてKnollの正規品です。さらに現在では日本別注のイタリア製造まであります。ややこしい。
Knollの歴史は長く、年代だけでなく製造工場によって個体の作りもサイズも塗装も違ってきます。Knollのロゴが入るものがあれば入らない物も多いです。
そして、日本製はそもそもの定価がすごくお値打ちでした。米国製のものに比べても非常に安いです。確かサイドチェアの最終上代(定価)が4万円もしなかったです。
これらすべてのKnoll製品についての知識をある程度もっている者じゃないとKnollの家具は鑑定が出来ません。
だから中古市場が非常に安いのも、”正確な鑑定が出来ないゆえに値段を適正につけられないから”なのと、”そもそも日本製のKnoll製品のために中古価格も安くしている”というケースがあるからです。そして知識が無い業者は他業者の値段設定に右に倣えしているからですね。
良くないのが日本製の中古なのに米国製やイタリア製のKnoll製品の現在の定価を参考にして中古の値付けをしている場合です。
これはそもそも製品が別物なわけですから不当な値段設定なのです。
だから現在のKnollの価格を見て中古を安く感じても、そもそもその中古のKnollの家具はどこ製なのかを判断しないといけません。それ以前に正規品かどうか見分けられるかって話もありますけど。
たまにあるので注意してくださいね。
私的にはこうした違いは複雑ですが覚えるのが楽しいです。
家具のデザインや歴史だけでなく、構造やつくりの変化まで知ると面白いものです。
コメント