– Miss Blanche –
デザイナー:倉俣 史朗 (Shiro Kuramata)
これは日本の名作家具の中でも伝説的な椅子の一つです。
ミスブランチ(Miss Blanche)はメンフィスにも参加したデザイナー「倉俣史朗」氏が1988年にデザインしました。
バラをアクリルに封入するという奇抜な構造が椅子として完成しており、近年の著名なオークションで高額取引される貴重な椅子です。
ミスブランチのデザインストーリー
ミス・ブランチはコクヨ社の協力により製品化がされました。
1987年に当時のコクヨ副社長が建築家の安藤忠雄氏を通して倉俣史郎氏を紹介され、コクヨ社が家具デザインの見直しを図る中で今までにないデザインの椅子として倉俣氏が提案をしたデザインです。
倉俣氏はアートという提案はしないつもりで透明性や浮遊性といった重力の自由に対する願望を表現したデザインを考え付きました。
それがまるでバラが空中に浮かんでいるような椅子です。
それを実現させるために素材にアクリルを選び造花のバラを使ったことで完成に至りました。
そうして一脚のプロトタイプが完成しそれをもとに量産されましたが、ほとんど手作りに近かったこともあり当時の価格で一脚200万円以上という高額な椅子となってしまいました。
そのため最終的には60脚ほど(56脚説が有力)までしか製造されませんでした。
ミス・ブランチのプロトタイプは量産品とアームの部分の形状が違います。
プロトタイプは現在もコクヨ社が保有をしています。
ミス・ブランチという名前はテネシー・ウィリアムズの映画「欲望という名の電車」に出演しているヴィヴィアン・リーが演じる未亡人「ブランチ・デュポワ」から名づけられました。
非常に美しいこの椅子は倉俣氏の評価が上がるとともに近年では高額取引がされています。
今年2022年6月にはニューヨークのフィリップスで$516,600で落札されました。
現在の為替にすると日本円で¥67,000,000以上です。これはミス・ブランチの過去最高落札価格を大幅に超えるものです。
なにせ世界に60脚も存在せず、なおかつ所有者は手放すことをしないため市場に流れること自体が稀です。
この価格は年々上がっていくことでしょう。
日本の名作椅子の中では別格の存在なので見るだけでも貴重です。
座ることはほぼ無理なものですが、見るだけなら所有している各美術館で閲覧可能です。
今回使用している写真は武蔵野美術大学なので、解放されているタイミングでは一般でも見ることができます。
>>【名作椅子が大量展示】武蔵野美術大学で開催中の「みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」現地レポート
あと富山県立美術館もタイミングによっては展示しています。
随分前の話ですが、このミスブランチが○○〇万円で手に入るなんて機会もあったのですが、その時の私はそんなお金が無くて買えるわけがなかったのですけど、いまその価格で売っていたら即決で買うんですけどね・・・まあもう今はそんな価格で買えるわけないですからね・・・
うまくいかないものですね。
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