– Barcelona Couch –
デザイナー:Ludwig Mies van der Rohe (ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ)
「バルセロナチェア」のクッション部分をそのままベッド状にしたようなこのデザインは、ミースのプロダクトの中で最も大きく豪華な名作家具です。
「バルセロナカウチ」なんて名前が付いていますが、当初からそんな名称は付いていませんでした。
実はバルセロナチェアと同時期にデザインをしたものではありません。
バルセロナコレクションでもっとも豪華な家具
(https://ogitaka.com/2019/11/02/knoll_celebrates_bauhaus_-report/)
バルセロナカウチがデザインされたのは1930年のことです。
既にバルセロナチェアのデザインをしたバルセロナパビリオンの仕事は終わっていました。(バルセロナチェアは1929年です。)
この時に建築家のフィリップ・ジョンソンの依頼によりシカゴに建てるアパートメント(日本でいうマンションのこと)をミースは手掛けることになりました。
アパートメントというと狭い空間のため、そこに合わせて使われるデザインとして後のバルセロナカウチと呼ばれるベッドをデザインしました。
当初のアパートメントではこのようにバルセロナチェアにバルセロナスツール、そしてトゥゲンハットチェアと合わせてインテリアデザインをしていました。
小スペースを上手く使えるようにカウチは有意義に置くことが出来ましたが、日本の多くのアパートメントをよりは全然広い空間には違いありません。
ミースが今まで手掛けてきた豪邸とは違いますからね。それに比べたら小さなスペースです。
「バルセロナカウチ」という名前を付けたのはKnoll社です。
製造が難しいためチェアなどと遅れて1968年から同社にて製造をすることになりました。
それも「バルセロナカウチ」という製品名にしたのは1970年代の後半のことです。
理由は”見た目がバルセロナチェアに似ているから”。
そこでバルセロナシリーズとして製品ラインナップに加えたからです。
確かにチェアと似ているのですが、カウチにするために木製部分を使うといった大きく異なる部分があります。
そもそも脚の形状もXラインではありません。
ベッドのフレームにマホガニーを使った贅沢な逸品です。
カウチという名称は長椅子という意味ですので、背もたれのないソファとして使われることを想定しました。
もちろん寝転ぼうと思えば寝転べます。
これ一つあるだけで極上の空間が出来上がります。
贅沢な逸品として名作家具として存在感を発揮する一生使えるスペシャルなプロダクトですね。
弾力とか張りがすごいですよ。バルセロナカウチは。
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