愛知県刈谷市には1905年に創業した病院・福祉・介護向け家具メーカー株式会社ナゼロ(Nazero)があります。
家具の分野で病院の患者、体の弱い高齢者、子供や出産を控えた女性のために、安全で、使いやすい椅子の開発をしています。
そんな家具メーカーの本社には、とんでもない貴重な椅子コレクションを保有しています。
訪問しましたのでその様子をお届けします。
ナゼロの事業とコレクション
まずナゼロは病院・福祉向け家具メーカーとして長年の研究と開発により優れたラインナップがあります。
どれもよく考えらえたデザインで耐久性も高い家具です。
詳しくは公式HPをご覧ください。
そんな同社は玄関の時点で名作椅子が並んでいます。
エーロ・アールニオやロン・アラッドの椅子が並んでおり、写真にはありませんがザハ・ハディトのアイスバーグが展示されています。(のちの動画には映っていますが事情があり全容は写せませんでした)
アイスバーグは世界に数個しか存在せず美術館の目玉になるほど貴重な椅子です。
それがごく普通に置いてあるあたりはただものじゃありません。
1階と4階はナゼロオリジナル家具が大量に展示されています。
椅子がベッドに変形するなど特殊なデザインが多数ありますので、実際に動きを見たほうがわかりやすいです。
ですが上写真のブロイヤー(スタムかも)の椅子のように、ところどころに名作椅子が置かれています。
サラっと普通に置いてあるので見逃しそうですが、よく見ると貴重品ばかりです。
そして北館5階がすごいです。
ロン・アラッドのビッグ・イージーが迎えてくれまして、このフロアはミニミュージアムとなっており特に珍しい椅子が展示されています。
当たり前のように倉俣史朗の椅子が置かれています。
もうどちらも百万円以上の価値になっていますね。
この椅子はあるカフェレストランが廃業する時に十数脚もらってきたそうです。
あり得ない話ですが、昔はそういったことがあったのでしょうね・・・
倉俣史朗のデザインが評価されていない時もあったのでしょう・・・
そんなミニミュージアム内部はこうなっています。
すごいとしか言いようがないほどの椅子たちです。
ロン・アラッドのデザインが特に多く、どれもオリジナルで、世界に一つのニューオリンズを所有しているなど驚きです。
左のニューオリンズが世界に一つのものです。(ペイントしているので)
アラッド本人がナゼロ社長と撮影している写真も飾られています。
ロンドン・パッパルデッレやダーウィッシュ・ウィリアム・サワヤなど近年のデザイナーによる椅子も所有しています。
フランク・ロイド・ライトのピーコックチェアは座面が藁が入ったオリジナルヴィンテージです。
何処にこんなのがあったのでしょうか?
ガウディにメンディーニとこちらも名作椅子です。
入口に置いてあるデスクがブロイヤーのものですし目に入るものが全て良いものです。
さらに別のミュージアムにはスカンジナビアンデザインとジャパニーズモダンデザインを揃えています。
アルヴァ・アアルトのコレクションもありますが、そもそも同社はアルテックの販売もしていました。
フィン・ユールやハンス・J・ウェグナーなど最近は非常に人気が高い椅子たちももちろんコレクションしています。
これは私も現物を初めて見ました。
エリエル・サーリネンのダイニングセットとブルーチェアです。
ラグもクランブルックのものです。
この現物を所有しているのはもしかしたら国内ではここだけかもしれませんね。
動画も撮っていますので全容を見たい方はご覧ください。
とにかくすごいコレクションでした。
面白いのが本業が病院・福祉関係の家具メーカーなのに、コレクションは全くそれに関係ないどころか対極に位置するデザインです。
ですが同社の社長によると、これらのコレクションからインスピレーションを得ることがあるそうです。
この貴重な椅子についてはあくまで会社として社長としてのコレクションなので、ナゼロさんの本業の家具について欲しい方はお問い合わせください。
実際、良い家具を作っている家具メーカーですよ。
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