1972年12月に発行された「室内」を読んでいると「安い輸入家具」という興味深い特集がありました。
この時代の安い家具とはいったいどの程度の価格帯なのか参考になります。
内容を読むと椅子1脚7、8,000~16,000円ぐらいが安い家具として紹介されていました。
1972年の大卒初任給が52,700円(参考https://nenji-toukei.com/n/kiji/10021)だったことを考えると、8,000円の椅子でも4脚とダイニングテーブルを買ったら初任給全額です。
この時代はこれでも安い家具ということですね。
これに比べると現代の安い家具の価格帯は異常です。
現代の安い家具というと椅子一脚1,000円もありますからもうとんでもないです。
これほど低価格の家具が存在すると、どうしてもそちらの価格に引っ張られることで今まで中価格帯だった家具も高額扱いをされてしまいます。
次も面白い記事ですね、「安いイケアの家具」です。
1972年は初めてイケアが日本に上陸した年です。
そんなイケアの椅子を壊してみるという楽しそうな試みです。
イケアといえば低価格家具メーカーの代名詞ですし、1972年も安いイケアの家具と名付けているぐらいですから相当安いのでしょう。
と思いきや、紹介されている椅子の価格が27,000円です。
先ほどの国内の安い家具として紹介されている家具の中に比べると安くはありません。
ちょうど別のページで新しい家具という特集があったので価格を比べてみます。
当時、新しい家具として紹介されている多数の家具の価格と比較をすればイケアの椅子の値段が安いのかがわかります。
紹介されているメーカーが今は全滅なのが寂しいものです・・・
価格を見ると木製のダイニングチェアが1脚25,500円と紹介されています。
先ほどのイケアの家具より安いです。
同じ雑誌なのに値段についての評価が特集ごとにちぐはぐなのは謎です。
安いイケアの家具とはなんだったのでしょうか・・・?
事実イケアは1度目の日本上陸の際にはうまくいかず撤退をしています。
撤退理由の一つとして”安くなかったから普及しなかった”ということらしいのですが、確かにこの価格を見ると安い家具ではなく、どちらかというと良いお値段の家具でしたから、国内でもっと安い家具が多数あったことで優位性を出せなかったのだと思います。
イケアの椅子を分解されている様子を見ても安い家具という印象はありません。
素材も構造もしっかりしたものです。
量産されてこのクオリティでこの価格というのが”安い家具”ということだったのでしょう。
イケアは2001年に日本再上陸を果たしてからは現在の状況に至ります。
あとは皆さんがご存じの通りですね。
この時代の本を読んで気になるのは安い家具の価格帯です。
現在のほうが明らかに家具の値段は安いです。それも異常なほどです。
グローバル化に伴い大量生産大量消費の弊害か、使い捨てのような家具が台頭したことで安い家具の価格がとんでもなく下がったことで家具自体の低価格化が進みました。
おかげで今では椅子1脚3万円が高額扱いされることもあります・・・
その反面、有名メーカーの家具は逆に高額化が進んでいます。
1972年の時と現代とでは有名メーカーの家具の価格帯は何倍にもなっています。
こうしたことから家具も二極化が進んでいるということがわかります。
この傾向はこれからもっと広がるでしょう。
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