おそらくもっとも簡単で素材の少ない椅子が以前ヴィトラ社から発売されていました。
それがこのChairless(チェアレス)という椅子です。
いや、椅子じゃないのかもしれません、いやでも椅子ですよね、ジャンル的には。
ただのベルトにしか見えませんが面白い考えをしています。
椅子が無いけど座れる椅子です。
椅子が無くても座れる椅子
このチェアレスは写真のように身体に巻き付けて使います。
背中と足でバンドを固定することでお互いが引っ張り合います。すると自然と身体が固定されることでそのまま座ることができます。
背もたれのように背中に体重をかけても足で固定されているため後ろに転がりません。
チリの建築家Alejandro Aravena(アレハンドロ・アラベナ)により2010年にデザインをされドイツのVitra(ヴィトラ)社から発売されました。
現在は販売終了したため製造はされていません。
生産当時は端材を利用して作られていました。
このチェアレスを持ち歩けばいつでもどこでも腰掛けることができる画期的な椅子ですが、この優れた理論はデザイナーやヴィトラとは別にあります。
南米グランチャコの先住民アヨレオ族の古くからある風習として、民族での移動が多い彼らが休むために持ち歩く紐がチェアレスのルーツとなっています。
アヨレオ族はまさに紐を背中と足に上写真のように巻いて座っていました。この習慣からインスピレーションを受けてアラベナがチェアレスをデザインしました。
インスピレーションというか、もうそのままです。素材の違いだけですね。
それもあってか(?)、チェアレス販売当時は売り上げの一部をパラグアイの先住民を支援する非営利団体に寄付されていました。そのまますぎますしね。
数年で販売終了したので知っている人は少ないかもしれません。
一本鞄に入れておくと重宝する椅子でしたよ。
やっぱ椅子じゃないかな?
追記:動画を撮りました。
ご覧ください。
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