– 小さな時計 –
デザイナー : 渡辺 力 (Riki Watanabe)
2007年に㈱タカタレムノスから発売された渡辺力デザインの小さな時計は、1970年に力 氏がセイコー㈱から発売していた時計をリデザインしたものです。
パーソナルクロックの先駆けともいえるデザインを現代でも使いやすくした構成は評価が高いです。
アンチテーゼとして生まれた時計
1970年当時の写真はこちらです。
文字盤はエンボス加工以外にプリント文字盤もありました。
セイコーから発売されたこの時計は当時「SEIKOウォールクロック」という名前でした。
「小さな時計」という名称は、2007年に製品化される際に名付けられた名称です。
㈱タカタレムノス(当時の社名は株式会社高田製作所)は当時セイコー㈱(当時の社名は株式会社精工舎)の協力工場でした。
”小さな”時計という名前なのにそれほど小さくないのは、70年当時は周りの時計に比べてサイズが小さかったからです。
当時は装飾華美でサイズも大きな壁掛け時計が多く、力氏はそうした時計へのアンチテーゼとしてサイズの小さな時計を作り上げました。
小さいながらも存在感があり、奥行きのあるボディがカラーを際立たせることで印象深いデザインとなっています。
それでも『そんなに小さくないよね』という話も分かります。確かにもっと小さくできそうです。でもそれはヴィンテージ品を見ると答えがわかります。
これはずいぶん昔に所有していたオリジナルのSEIKOウォールクロックです。昔なので携帯写真ですから画質がひどいです。見づらい度MAX。
裏側を見ると分かりますが電池は単一電池でした。そのための奥行でもありました。
電池を入れるサイズを考えると”小さな”時計じゃないですか?
それに現実的に考えてこれ以上小さな時計にすると壁に掛けておいても誰も気づきませんし見えません。小ささ記録を狙っているわけではありませんから、実用的な部分で最小でしょう。
2007年にレムノスから製品化される際には奥行を活かして専用スタンドが付属されています。
賃貸の方には置時計としても使えるため好評を得ています。
文字盤の落ち着いた印象や、小さいながらも意外とちゃんと時刻がわかる絶妙なサイズ感が素晴らしいです。
渡辺力氏による時計への実力がギュッと凝縮された名作時計です。
あと私がすごいと思っていることがあります。
この時計は2007年発売時から私も販売をし続けているのですが、レムノスは一度も値上げをしていないんです。すごい。お手頃価格を続けているのは企業努力でしょう。
贈答としても好まれていますよ。
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