
これは1970年にSimon Fussell (サイモン・ファッセル)がデザインをしたDrawer System(ドロワーシステム)です。イタリアのKartell(カルテル)社から発売されました。
Stacking Drawersと読んだりStacking Drawer Programと呼ばれたりしますが、カタログにはDrawersとしか書かれていなかった記憶があります。
かなり前に廃番となっているため、今ではご存じない人も増えているかもしれませんが、以前のカルテルを象徴するプロダクトの一部であり、なぜかミッドセンチュリーインテリアでは外せない存在でした。

そもそもミッドセンチュリー期は1940-60年頃を指すので、1970年のドロワーシステムはカテゴリーにはまっていません。
それでもなぜミッドセンチュリーのイメージがあったかと言うと、90年代からのミッドセンチュリーを専門とした東京のショップがセレクトしていたからです。
そして、それに伴うミッドセンチュリーブームの影響も大きかったと思います。
当時はミッドセンチュリーアイテムにカルテルの商品を並べて販売していました。
インテリアコーディネートもカルテルのプラスチック製品を合わせるのが一般的で、ミッドセンチュリーがテーマの空間にコンポニビリを置くのはマストのような感じでした。
年代が異なるため違和感がありますし、誰が最初にミッドセンチュリーにカルテル製品を合わせたのかは知りませんが、おそらくプラスチックの家具そのものがミッドセンチュリーデザインと相性が良かったからでしょう。
イームズのプラスチックシェルチェアが代表的ですが、サーリネンのチューリップチェア、柳宗理のエレファントスツール、パントンチェアなどなど、ミッドセンチュリー期はまだ新しかったプラ素材を使って様々なプラスチックデザインが生まれました。
曲線を持ったプラスチックデザインは相性が良かったため、60年代からのプラスチックデザインも自然と受け入れられたのでしょう。
でも60年代からのイタリア/フランスを中心としたカテゴリーとしてはスペースエイジとなりますので、それはそれで専門店も存在しましたが、スペースエイジ自体がミッドセンチュリーとセットで扱われやすかった印象です。
ジョエ・コロンボのボビーワゴンなんかは象徴的です。
1970年ですし全然ミッドセンチュリーじゃありませんが、もはやその存在に疑問はありませんでした。

そんな中でこのカルテルのドロワーシステムもインテリアコーディネートに欠かせない存在でした。
スペースエイジ好きはまず所有していましたし、ミッドセンチュリー好きにもこれは便利な収納としても重宝されていました。
これを使ったデスクもありましたが、かなり受けが良かったです。
積み増し可能でキャスターも取り付け可能。モジュラー式で堅牢で大きな収納として使いやすいです。(引出しの音がうるさいですが・・・)
なんとなくレイモンド・ローウィのキャビネットの代替品のような扱いがあった気もしますが、拡張性も高いドロワーシステムの方がより使いやすかったです。
そんなわけでこのドロワーシステムは以前のインテリア業界を知っていると懐かしさでいっぱいになります。
ちなみに、今となってはけっこう珍しい存在になりつつあるので、市場では年々価格が上がっている印象があります。
本来は年代区分で整理されるべきですが、実際のマーケットでは「売り場文化」がカテゴリーを作ってきました。それがわかる例でしたね。

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