これは2006年に発行された当時の最新のチェアを紹介している本です。
新しいように見えてもう16年も前の内容ですか・・・
久々に読み返すと懐かしい顔ぶれでいっぱいです。
こうした本を見ると残るデザインと消えるデザインがあるということがわかります。
2022年の今の時点でもう見ることが無い椅子も多数です。
この当時は大々的に扱われていていた椅子でも製造終了しており、もはや存在すら忘れられているデザインもあります。
ファッションや音楽といった他ジャンルと同じですね。
その時に大きく打ち出されて新発売をしても、その時に流行っていても消えていくコンテンツがあるのは家具のデザインも一緒ということです。
次々とコンテンツが生まれ、そして消えていく。
数多の椅子が生まれ、そして消えていきます。
私の印象ですが、当時のトレンドに合わせて作られた椅子は残っていきづらい感じがします。
過去のデザインの本を読んでも、残るデザインとは当時として革新的だったり、先進的な素材を先駆けて使っていたり、もしくは時代に左右されないようなデザインをしているものが今も残り続けているようです。(あとメーカーの強さ)
これも音楽とかと一緒で、流行に合わせて作ると消耗が早く後には残らないということでしょう。
当然中古市場価格も上がらないため価値の無いデザインになってしまいます。
そうは言っても50年後に再評価をされて復刻されることがあるのが椅子です。
デザイナーの死後評価されることもあるので一概には消えるデザインとは呼びづらいのですが、デザイナー的には当時売れてくれないと困りますけどね。
なんとなく椅子のデザインについては何でも後世に残り続けるイメージがあるのですが、そうではなくて生まれて消えてを繰り返しているのはほかのジャンルと一緒ということです。
ところでこの本の価格は¥2,000です。
この本発売当時はこうした椅子の紹介する情報も本で発売されてそれを買うしか情報を得る手段がありませんでした。もしくは雑誌ですね。
逆に今はインターネットで無料で新作情報がいくらでも発信されているのでこうした本が発売されることもなくなりましたし、あったとしてももう買う人はいないでしょうね。何せこの本に掲載されているぐらいの発売情報はネット上にほとんど公開されています。
今こんな本が発売されても購入する人は稀でしょう。
私は特に疑問には思わず買う人ですが、もう現代のデジタルネイティブの人たちにとっては情報にお金を払うというのがわからないと思います。
ここ十数年で随分と世界は変わりました。
しかし私が思うインターネットの情報の不便なところは過去の情報を見つけづらいところです。
例えば今回のような2006年の椅子販売情報をまとめて見たくても、それを見る方法がネット上にはほぼありません。
その場合はやはりこうした本のほうがあとに残しやすいです。
資料としてもできれば本での発売は続けてほしいですが、減っていく一方なのは寂しい限りですね。
今発売されたばかりの新しい椅子の中には時が経つことで忘れられてしまうデザインもあるのでしょう。
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