– Plia Chair–
デザイナー:Giancarlo Piretti (ジャンカルロ・ピレッティ)
イタリアの工業デザイナー「ジャンカルロ・ピレッティ」が1967年にデザイン・発表をしたプリアチェアは折りたたみ椅子の歴史を変えた名作椅子です。
イタリアのANONIMA CASTELLI社にて1970年より製造販売されています。
当時革新的だった素材選びと、工業製品ながら高級感も感じられる洗練された椅子です。
ANONIMA CASTELLIの読みは”アノニマ・カステッリ”または”アノニマ・カステリ”です。
現在の折りたたみ椅子の基礎ともなったデザイン
(写真は㈱メトロポリタンギャラリー提供)
ピレッティはアノニマカステッリ社のインハウスデザイナー(社内のデザイナー)として活躍しており、工業的な椅子作りに長けた人物でした。
彼がデザインする椅子は、構造的に利便性を高めることが念頭に置かれており、実際に普及して広く使われるデザインを追求しつつ、シャープなラインを美しく魅せることが特徴的なデザイナーです。
彼のデザインは「DCS」「プルヴィウム」「ドーサル」なども有名です。
そんな彼のプリアチェアは折りたたみ椅子の歴史を変えました。
今では当たり前の折りたたみ構造ではありますが、このプリアによって考えられた構造です。
フレームにアルミを使い、背と座にはセルロース※をつかい透明度の高いシートは高い評価を受けることとなり、MOMA(ニューヨーク近代美術館)の永久収蔵品に選ばれたり各著名な賞を受賞するとともに、近年までに700万台以上のセールスを記録するなど大ヒットしました。
※アルミフレームとセルロースを使ったのは80年代以前の仕様です。
素材の選び方が画期的だっただけでなく、構造にも優れたプリアはコンパスのようにキレイに折りたたむことが出来ます。
折りたたんだ状態だと5cm未満のフラットな大きさとなることで、収納や運搬にも大きさで困ることがありません。
実はピレッティのデザインの中でプラ座面そのままかつ、透明感のある椅子というのは珍しいです。
折りたたみ椅子というとあまりデザインにまでは目を向けられない分野かもしれませんが、このプリアの様な椅子が大量に並ぶとその見た目の美しさにより空間の質が高まります。
また、家庭で使うにも良い折りたたみ椅子です。
普通の折りたたみ椅子を自宅で使うと、何となく椅子が足りないからその場しのぎで使っている印象が出ますが、これならプリアが使いたくてダイニングチェアとして使っているということがわかるでしょう。
こちらは実物の現行正規品です。
現在生産されているプリアチェアは同じくアノニマカステッリ社にて製造されていますが、発売初期とは素材が違います。
現在はスチール角パイプフレームに背と座はポリカーボネートです。
フレーム接合部にだけアルミが使われています。
見た目の美しさはかなりのものです。
座る心地は折りたたみ椅子にしては良いのですが、それなりにギシギシ音が鳴ります。
耐荷重は110kgまでなのですが、斜めに腰掛けたり一部だけに座ったりすると途端に耐荷重が最大40kgまで下がります。
その為、公共の場所ではちょっと使えないなと思います。
普通に使う分には問題のない頑丈さです。
まぁ折りたたみ椅子ですから耐久性を求めるとどんな椅子でも難しい部分が出てきます。
せっかく折りたたみ椅子を手に入れるなら名作かつ見た目の美しさも欲しいという人にはぴったりですよ。
私のお店でも販売しています。(amazon payなど利用できます)
背と座がラタン(籐)になったプリアチェアラタンも発売開始しました。
(書籍Giancarlo Piretti)
ちなみにプリアにはスツールVer.のプラトーン(Platone)が存在します。
座面にカーブを付けたパフ(Puff)とラウンジタイプのプロナ(Plona)もあります。
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